「白人のカップルがアジア系の子供といっしょに歩いているのを見たとき、どんなことを思いますか?疑問、懸念、考えがあれば教えてください!」
今朝Facebookを開いたらサンフランシスコで中学から高校、大学時代をいっしょに過ごした親友のカレンさんから、こんな呼びかけの投稿がありました。カレンさんはご主人との間に2人の息子がいます。また11年前に、中国に渡って、1人の赤ちゃんを引き取って養女にしました(まだ会っていませんが、とても元気そうな女の子)。アメリカ人が中国の孤児院から養子を引き取れるようになったのは中国政府が法改正を行った1992年以降のこと。その数は年々増え、2005年の約8,000人をピークに、09年の中国政府による孤児渡航法の見直しをきっかけにかなり減ってきています。もともと中国政府による一人子政策が原因で孤児が大量発生。1人しか産めないとすれば男児がいい。女児の「余剰」が生まれ、悲しい対処法の一つとして女の子たちが親から切り捨てられ、海を渡るはめになったのです。
半日間で、30人ほどの「友人」がカレンさんの問いかけに答えています。ほとんどの人は良心的。「別に何とも思わない」「両親が、養子を取ろうという決意を固めるまでにどれほど苦悩したか」「思わず子供の人種が何かとか、カップルのどちらかの連れ子ではないかしら」など勘ぐったうえで、しかし小さな他人を貧困と痛みから救おうとしたこのカップルの姿は気持ちいい、共感できると書き込んでいる人が多いです。
とはいえ、アメリカには、中流の白人家庭が中国孤児を引き受け、大人まで育てることに同意できない人が増えているそうです。カレンさんの呼び掛けは続く。「どうか正直に答えてください。見た瞬間、その子が中国で「盗まれた」孤児だと心配したことは?生まれた文化から無理矢理引き剥がされ、アイデンティティを失ったと憐れんだことは?」
移民大国アメリカですら「吸収」することの困難さが伝わり、読みながら切なくなりました。
今朝の『読売新聞』で、「Nippon 蘇れ」シリーズ第4部「吸収」1回目として、野依良治さんと高橋進さんと鼎談をしています。日本がこれからの少子化社会とどう向き合えるか、「外からやってくる」人々をどう考え、受け入れをどう議論すべきか、いくつかの提言を試みました。『読売新聞』の「吸収」は論陣を換え、来週も引き続き、全5回掲載予定とのこと。